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雪の消える4月下旬から5月はじめにかけて、米山の北面に残雪と山の地肌の黒が織りなすさまざまな形が浮かび上がって見えます。雪形と呼ばれるこの造形は、山麓に住む農民や漁民にとって、農作業や漁業の時期を知らせる暦のような役割を果たしていました。
米山北面に最初に姿を現すのは魚の形をしたコイガタ(鯉形)で、空に向かって昇るように見えます。コイガタ(緑の線で囲まれた部分)が表れると、農民は畑の種まきやイワシの塩漬けの準備をはじめ、その姿の良し悪しで作柄を占い、漁民は春イワシの網の手入れにとりかかりました。
コイガタといっしょに人物像も表れ、スジマキジイサン、スジマキオトコ、タネマキジイサン、ゴンベノタネマキなどと呼ばれています。コイのすぐ右に出るスジマキジイサンは柏崎市宝町では笠を被り、籠を持ち、両腕を広げて立っている格好に見えます。柏崎市原町ではこの雪形はゴンベノタネマキと呼ばれ、スジマキの目安にしていました。
この雪形の右の尾根に出る人物像の雪形は柏崎市春日ではスジマキジイサンと呼ばれており、左を向いて腰を曲げた格好をしています。
さらにコイガタのすぐ左に現れる人物像を、中通地区から刈羽にかけてスジマキオトコとみなしています。
米山に対する地域ごとの微妙な視角の違いが、3人のスジマキオトコを誕生させたものと思われますが、同じ雪形が賑やかにいくつも同居する例は全国でも稀とされています。
祖先から受け継がれた、米山に寄せる周辺住民の篤い信仰と信頼の証ともいえ、自然の暦として現在も文化財として生き続けています。
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